La Vento 333

La Vento
N-ro 333   2012. 1月号

Suita Esperanto-societo

吹田エスペラント会会報   発行:矢野義男  吹田市山田東2-25-13
郵便振替 00970-0-319578   年会費 6000円  準会費 2400円
ホームページ http://suita.chu.jp


Felicxan novjaron!

新しい年が始まった。昨年の 「東日本大震災」の復興がなかなか進まないこと
や、福島の原子力発電所の損傷による放射能汚染の環境への影響拡大の不安を思う
と、何か新しい年を迎えたという実感が私には湧いてこなかった。
1月17日には、神戸の震災から17年めを迎え、もう、1月も過ぎさろうとしている。
元旦に辰年の人が「朝日にかかる竜の形そっくりの雲をデジタルカメラで撮影した」
という写真が新聞に載っていた。天翔ける竜のようにいい年になってほしい。  (矢吹)

外国人のお客さん

コロンビアはボゴタ出身のレオナルド・ルイズが南千里に住んでいることを聞い
ていたので、フェイスブックで例会に誘ってみたら、11月のある晩やって来た。
ちょうど矢野会長のクラスはお休みの日で出席者が3人という珍しく寂しい例会だ
ったけれどレオナルドの身の上話をゆっくり聞くことが出来た。大阪大学で来年3
月まで日本語研修を受けその後1年間は奈良教育大学で英語教授法を学ぶそうだ。
彼の家族はアメリカのフロリダ州に住んでいるとのこと。アメリカでも7年間移民
の子ども達に英語を教えていて、このたび奨学金を取得してかねてからの夢だった
日本に来たという。日本に到着してすぐ案内された場所はスマートフォンの特別に
留学生向けの使い放題定額契約(3千円くらい)が出来るところ。早速1台購入し
て、今では、”ぼくの一番の友だち”というのもその筈。手書き入力が出来、ロ
ーマ字やひらかな、またはあやふやでも漢字を書くと、書き順、音読み、訓読み、
意味や例文まで即示してくれる。丁度、芥川竜之介の短編集の日エス対訳を読んで
いるところだったが早速参加してくれて、エスペラントの文を読む。大正時代に書
かれた芥川の文章は私たちにも難しい単語や表現などが出て来るが、携帯で探して、
日本語を解明してくれたりした。みんなで画面を覗き込んで、初めて見る早業に感
心することしきり。レオナルドの日本語力もかなりなものだが、分からないことは
すぐ携帯に訊ねるので、上達も早いのかもしれない。大学には世界各国からの留学
生がいるし、ホストファミリーが居ていろいろな行事に参加したり、結構忙しくし
ている様子。フェイスブック上では、あちこち探検しているのがよくわかる。例会
にまた来てもらいたいけれど、まず日本語優先なのだろう。    (松田洋子)

2011年度活動報告

1. 入門講習会

2011年度は開催せず。

2. 例会

千里市民センターを使用。
矢野クラスでは、“HANAKO lernas Esperanton”を使って読みと訳の練習。
松田・佐藤クラスでは小西岳氏訳の「芥川龍之介」の輪読と要点解説。この2クラスで学習が進められ、12月に終了した。

3. 行事

★ 吹田市民文化祭参加

11月3日(月)1時~4時。メイシアター小ホールでふれあいコンサートが開催され、約104名の参加者があった。吹田エス会からの参加は、矢野義男、佐藤、松田、大畑、藤田、矢野明徳、矢野博幸、犬伏、近藤、矢吹。受付は、大畑、司会は後藤美和、カメラは藤田。矢野会長挨拶の後、吹田市長の挨拶があった。次に、恒例の吹田市立第六中学校PTAコーラス同好会が、エスペラントで「上を向いて歩こう」、手話で「一本のえんぴつ」などを歌った。次は、佐藤芙優子さん(小6年)が「裸の王様」エスペラント朗読をした。その後、野田淳子さんの“勇気・希望・命をうたう”ふれあいコンサートが始まった。「すべてが贈り物」「里の秋」「千羽鶴」などをエスペラントと日本語の歌詞を交えながらの第一部。時には開場の人たちも隣の人と手をつなぎ合唱。第2部は金子みすゞの詩に野田さんが作曲した歌や韓国の曲が披露された。透明感あふれる野田さんの歌声にみなの心が癒された。

★ 北摂ザメンホフ祭

12月4日(日)1時半から5時、箕面中央生涯学習センターで北摂ザメンホフ祭が吹田担当で開催された。参加者20名。吹田エス会からの参加者は、陳健平、犬伏、矢野博幸、大畑、佐藤、佐藤芙優子、矢吹の7名。陳建平さんのミニ講演「私とエスペラント」の後、犬伏さんが本の紹介で「山月記」を、佐藤芙優子さんがエスペラント朗読「裸の王様」を披露した。飛び入りで佐藤芙優子さんの三線演奏(同三線と久保田百合さんの唄との共演、田平さんのオークションがあった)。大畑さんは、本屋を担当。

4. 大会などの参加者

★ 第59回関西大会

6月18日(土)~19日(日)神戸市立生田文化会館で開催され、吹田エス会からは佐藤、佐藤芙優子、近藤由佳里、陳建平、大畑、矢吹、松田(不在参加)が参加。佐藤さんは「九条の会」分科会を担当、佐藤芙優子ちゃんが朗読コンクール(「裸の王様」を朗読)で入賞した。

★ 第96回エスペラント世界大会

7月23日~7月30日までデンマーク・コペンハーゲンで開催。参加者なし。

★ 第43回林間学校:9月17日(土)~19日(日)京都エスペラント会館で開催され、佐藤さんが参加。

★ 第98回日本エスペラント大会・第43回韓国エスペラント大会

(日韓共同開催エスペラント大会)
10月7日(金)~9日(日)韓国城南市で開催。佐藤さんが参加。

5.外国からのお客さん

11月30日、コロンビア出身の南千里在住のレオナルド・ルイズが例会に参加。
ルイズの身の上話を聞き、一緒に芥川龍之介の短編集(エスペラント対訳)を
読む。

6.その他の活動

吹田エスペラント会のホームページが再開された。矢野博幸さんがQHMというソフトを使って作成。とても見やすく工夫されている。
視覚障害者への普及に努める「エスペラントを広める会」の10周年集会(5月22日)に近藤由佳里さん参加。

7.会員数(1月現在会員20名、準会員1名)

8.機関紙“La Vento”をおおむね毎月発行。

9.役員

会長:矢野義男。副会長:佐藤守男、会計監査:佐藤守男
委員:大畑賀代子(会計、KLEG委員)、佐々木安子・松田洋子(事務局)、矢吹あさゑ(機関紙・KLEG委員)

10.会費

年間6000円(正会員)、2400円(準会員)

芥川の作品についての文(感想文または評論)冬休みの宿題だったそうです。

二つの一瞬 ~ Noveloj de Akutagau~a Rjunosuke から        犬伏宣宏

Dum s^iaj vortoj ankorau~ ne finig^is, Gonsuke kurag^e forlasis
la branc^on en la maldekstra mano. Nun ambau~ manoj estis
liberaj. Ne povis esti, ke li restos sen fali. En momento lia korpo,
lia haoro, kiun li portis, forig^is de la arbopinto. Kaj tamen je granda
miro,la korpo ne ekfalis, sed staris firme, kvazau~ marioneto, en la
aero de la taglumo!
” Multajn dankojn, gesinjoroj! Dank’al vi mi farig^is vera diulo! ( p 22, 24 La Diulo 仙人)

Kaj, apenau~ ili ekvidis la pasantan trajnon per levitaj okuloj, ili
senpreokraste etendis brakojn c^iuj kune, kaj kun la koloj retrofleksitaj,
plenpene els^prucigis el la gorg^o nekompreneblajn kriojn. Kaj en tiu
momento, la knabino, els^ovinta sin tra la fenestro, eketendis la frostos^velajn
manojn kaj rapide svingis ilin dekstren-maldekstren. Tiam, al la knabetoj
okulantaj al la trajno dise alfalis el la c^ielo kvin au~ ses orang^oj, kiuj aspektis
koloritaj de la kortus^e varma sunlumo. ( p40, 42 La Orang^oj 蜜柑)

一つは権助が仙人になった瞬間、もう一つは少女から蜜柑が投げられた瞬間である。
二つとも、作者はこの一瞬を書くために、それぞれの作品を書きつづったに違いない、
と思われる一瞬である。この一瞬には、多くのことが凝集している。権助の場合、それ
は、給金なしで水を汲む、薪を割る、飯を炊く、拭き掃除をする。二十年間の苦労が凝集している。
少女は奉公先へ赴こうとし、弟たちとの別れに蜜柑を投げた。
少女の背負う貧困が、一瞬輝いた蜜柑の色の中に凝集している。そして作品に生命を吹きこんでいる。
蛇足: ”Aranea Fadeno”の中で、カンダタのぶら下がっているところから蜘蛛の糸
が切れる瞬間ーこの一瞬には、心は動かなかった。ストーリーの展開をよく知っていた
からか、それとも寓話に感動するには歳をとりすぎたのか、すれっからしになってしまったのか?        (’11、12.15)

2月、3月例会会場のお知らせ

2月 1日(水) 南千里市民センター
2月 8日(水) 南千里市民センター
2月15日(水) 南千里市民センター
3月 7日(水) 南千里市民センター
3月14日(水) 南千里市民センター