La Vento 375

La Vento
N-ro 375    2016年 10・11月号
Suita Esperanto-societo
吹田エスペラント会会報  発行:矢野義男 吹田市山田東2-25-13
郵便振替 00970-0-319578   年会費 6000円  準会費 2400円
ホームページ http://suita.chu.jp


平成28年度吹田市民文化祭、エスペラントふれあい講演会終わる!

11月3日(木・祝)午後1時~4時、吹田メイシアター小ホールでエスペラントふれあい講演会が開催された。岸見一郎氏は、古賀史健氏との共著の『嫌われる勇気』が141万部を超えるベストセラーとなり、最近はNHKや民放にもテレビ出演されているだけあって、小ホールほぼ満員の117人(電話で57人、インターネットで60人の申し込み者)、ふれあい講演会過去最高の聴衆が集まった。吹田エスペラント会の参加者は佐藤、大畑、松井、松田、矢野明徳、矢野博幸、矢吹の7名。受付の応援に松田さんの娘さんが来てくださった。
初めに吹田エスペラント会副会長佐藤さんの挨拶。エスペラントがどういう言語かを簡単に紹介された
次は恒例の吹田第六中学校PTAコーラス同好会とHelikoとの共演。エスペラント語で “Esperanto estas la Lingvo por Ni”と “Ekfloros Floroj” の2曲と日本語で「365日の紙飛行機」と “Believe”(手話)の2曲が披露された。今年はHelikoのメンバーも後半の部分を手話を付けて歌うという新たな挑戦にいどまれたことが新鮮だった。
岸見一郎氏の紹介の後、第一部の講演が始まった。テーマは「人と人が結びつくこと」。
声が小さかったのでマイクの調整に手間取ったが、おだやかな人柄がにじみ出ていた。

人間は何らかの形で他の人と結びついて生きている。あらゆる悩みは対人関係から生まれる。嫌われるのも、憎まれるのも、生きていて良かったと思うことも、対人関係で生まれる。
対人関係がうまくいかなくて悩む人に、カウンセリングでは、対人関係に入っていけるよう勇気を与えるようにする。
そのためには、自分に価値があると思うこと、自分が好きになることが大切。そうなる方法は三つある。
1 自分の短所・欠点を長所ととらえることで自分を好きになれる。(性格が暗い人は優しいと、集中力がない人は散漫力があると、飽きっぽい人は決断力があるというように長所をみつけていく。)
2 自分が人の役に立っている、他者に貢献していると思える時、自分に価値があると思える。
「叱らない」・・・子どもが何か失敗しても叱ってはいけない。頭ごなしにしかるのではなく、自分でその行為をなぜそうなったのか、どうしたらいいのかと考えさせなくてはいけない。

「ほめない」・・・「ほめる」のは上から目線。対人関係が上下になっている。ほめて育てると常にほめられることをねらって行動するようになってしまう。
自分は何もできない、だめなんだと思わないで生きていることで家族に貢献していると思えたらそれでいい。「えらかった」とほめるのでなく、「ありがとう、助かった」といってあげるほうがいい。自分が生きていることが他者に貢献することになっているということを小さい頃から自然に教えていくことが大切。
3 他者を仲間と思える時のみに対人関係の中に入っていける。
人と人とが結びついている状態が理想。人を敵だと思っている限り、人に役にたとうとは思えない。人と人とは仲間であるという意識「共同体感覚を育成していくことが大切。この「共同体」は家族・職場・社会・国家・人類や、過去・現在・未来のすべ
てや、生きているもの・いないもの・宇宙すべてのことである。
人の言葉の中に悪意を見ずに善意をみるようにつとめることも大切。
(この共同体感覚を世界中の国が持てば、この世界から戦争がなくなるのに・・・と、私は考えさせられた。)
最後に、過去にとらわれないで、過去を手放す勇気をもつことが幸せになる方法だ、と結ばれた。

休憩の後、会場から8人の方から色々な悩みや疑問が出された。「短所に目をそむけない事と長所におきかえることの違いは?」「ほめることと勇気づけることの本質的なちがいに
ついて?」「なぜ、今の日本社会はアドラー心理学をもとめるようになったのか?」、また、職場や家族の介護の悩み等々。先生は一つ一つにご自分の体験や他の具体例もまじえながらわかりやすく丁寧に答えてくださった。
最近は、韓国語を覚えて韓国にも講演に行かれ、親孝行についても話されたそうだ。
親孝行には三つある。
1 親が反対しても最終的にあなたが幸福になること
2 親の課題と子どもの課題を区別して自分の人生を生きること
3 親不孝が親孝行
最後に、「家に帰ったら、『今日は、講演を聴きに行かせてくれてありがとう』と言おう、あるいは、『講演を聴きに行って子どもの自立をさまたげるような子育てをしてきたことに気付いた』と言ってみよう。」と結ばれた。(確かにこれまでと違う人間関係を築くことができるかもしれない、と思った。)
本当に生き方について考えさせられるアドバイスをたくさんいただき、あっという間に1時間が過ぎ、4時ちょうどに終了した。
岸見一郎氏
コーラス

    第103回日本エスペラント大会に参加して

矢吹あさゑ
第103回日本エスペラント大会が、2016年10月8日~10日に滋賀県近江八幡市のヴォーリズ学園で開催された。吹田エスペラント会からは、佐藤、松田、矢野明徳、近藤、矢吹の5名が参加。
1日目は分科会(検定試験、公開入門講座、暗記で歌うエスペーロ、歌う会など)と親睦の夕べが、2日目は、開会式、日本語講演「琵琶湖から世界へ」、野田淳子・レイクリードジョイントコンサート、各種分科会が、3日目は、日本語公開講演「日本をこよなく愛した異国人、ガンレットとヴォーリスの場合」、閉会式。
前回の仙台よりも参加者が多く、大成功だったようだ。

私は、1日目のみの参加だった。
大会前遠足の「水郷めぐり」に参加するため10時半に近江八幡駅へ。11時ごろまでに30人程が集まる。係の方に誘導されて市バスに乗車、水郷めぐり乗り場で下車。3隻の手漕ぎ船に分かれて乗船。
近江八幡のお城は八幡山城で、城主は豊臣秀吉の甥の豊臣秀次。1585年、安土城が消失して3年後に完成。城下には信長によって安土に集められた多くの商人たちが移住し、大商業都市のにぎわいを見せた。徳川時代には幕府の天領となり、城下の商人は幕府の通行手形を片手に全国を商いして回り、近江商人として活躍するようになったそうだ。歴史の話も聞きながら、76歳の船頭さんに案内されてのんびりと水郷めぐりをする。
コスモスや枯れかけた曼珠沙華に迎えられ、堀を進んでいくと、やがて西の湖へ。カルガモや亀やカイツブリなどを眺めながら、葭原の中へゆっくりと入っていく。蒲の群生もあった。今は蒲の雌花だけが残って蒲の穂になっていると船頭さんが教えてくれる。春から夏にかけてこの葭原にヨシキリが巣を作ってしきりに鳴いていたそうだが、今は南へ渡っていっていないそうだ。さぞにぎやかなことだったろうと想像しながら進む。同乗の方がアイパッドでヨシキリを調べてくれる。エスペラントでは何というのか?など会話も弾む。知らぬ間に1時間半近くたっていた。煩雑な毎日を送る者にとってちょうどよい休養になった。
会場で受付を済ませ、午後の分科会は堀泰雄さんの「暗記で歌うエスペーロ、ホリゾント」に浅田さんと参加した。堀さんは歌詞の一部をカードにして配り、自分が持っている歌詞のメロディーがきたら交代で歌いつないでいく方法で、「エスペーロ」の歌詞に皆が自然に慣れていくように工夫をされていた。浅田さんはただ一人暗唱に挑戦され、見事に合格。賞状を手にされた。この3年間努力されたそうだ。「何歳になってもチャレンジはしなくてはね、生きる元気をもらうために。」と。
ヴォーリス学園の生徒さんが翌日に披露される吹奏楽歓迎演奏のリハーサルを礼拝堂でされていたので、それを聴かせていただいて急いで帰阪した。
たった一日の参加だったが、充実していたと自己満足。