La Vento 425

N-ro 425    2021年 8月号
La VentoSuita Esperanto-societo

吹田エスペラント会会報   発行:矢野義男 吹田市山田東2-25-13
郵便振替 00970-0-319578   年会費 6000円  準会費 2400円
ホームページ http://suita.chu.jp

★ 東京オリンピックが7月23日から始まり、ついついテレビに釘付けとなってしまって
 いる。新しい種目や混合の競技が増えたことと、自国開催ということもあって、こんなに
たくさんの競技種目を毎日応援することはかつてなかった。オリンピックに出ることを子
どもの時から夢に抱き、実現した選手たちを見ていると、入賞するしないにかかわらず、
健闘に胸が熱くなり、ただただ、感動してしまう。8日のマラソンまでハラハラドキドキ
が続く。8月24日からはパラリンピックが始まる。感動はしばらく続きそうだ。
でも、選手の中には自国に帰らず亡命を余儀なくされた方もいるようだ。「全ての個人は
いかなる種類の差別も受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会
を与えられなければならない」というオリンピック憲章に違反していると思う。本当の
平和の祭典になってほしい。                       (矢吹)

★ 第69回関西エスペラント大会に参加して
  7月31日(土)~ 8月1日(日)に、第69回関西エスペラント大会が兵庫県中央労
働センターで開催された。主催は、神戸エスペラント会と一般社団法人関西エスペラント
連盟。吹田エスペラント会の参加者は、大畑、佐藤、矢吹。不在参加は松川、松田。大畑
は一日目の書店での販売担当。ご苦労様でした。
 私は一日目は、エスペラント版「しあわせ運べるように」を歌う分科会に参加した。
 2011年に田渕八州雄さんと平井淳さんがエスペラントに訳されたそうだ。浅田寿美子さ
んが歌唱指導をしてくださった。適確で巧みな指導のもと、一時間半ほど練習をした。私
は、コーラス練習はほぼ2年ぶりだったので楽しく歌うことができた。 
 3時から開会式。司会は田中一喜さん。参加者はいつもより少なかったが、無事終了。
 4時半から Gaja Vespero 。司会は玉越さん。
 最初は、島谷剛さんと岩田好兼さんの狂言「牽牛」。島谷さんの新作狂言だ。いつもな
がらどうやって長い台詞を覚えることができるのかと感心させられた。
 次が分科会で練習した「しあわせ運べるように」のコーラス。練習の成果があったかも。
次は、高井洋美さんのオカリナ演奏。心に沁みる音色に癒される。成田さんの日本舞踊、
吉井さん、田渕さんの独唱を聴いて、最後は田渕さんの声掛けと指導で会場の有志も加わ
り、阿波踊りを踊って楽しく終了した。 

 二日目は午後1時~3時の公開番組に参加。司会担当。前半は臼井真さんの講演「し
あわせ運べるように ―― 歌の力を信じて~震災から26年~」、後半は「まあの」さ
んのコンサート。
臼井真さんは神戸の小学校で音楽専科教諭として38年間勤められた後、現在は神戸親
和女子大学児童教育学科准教授として教鞭を執られている。阪神・淡路大震災直後に先生
が作詞・作曲された「しあわせ運べるように」は、災害後の「復興と希望の歌」としてペ
ルシャ語、トルコ語、イタリア語、ハンガリー語などにも訳されこの26年間、歌い継が
れてきた。そして、今年、2021年1月17日に神戸市の第2の市歌となったと、紹
介をさせてもらい、講演が始まった。
先生は終始、おだやかな口調で話された。一階で朝食を取り二階へ上り、職場に持って
いくために水筒に水を入れているときに、ゴゴーッゴーという地鳴りのようなものが聞こ
えた後、大惨事が……。窓ガラスが飛び散り、2階がどーんと落ちて1階が押しつぶされ
てしまったそうだ。何が何だかわからなかったが、気がついたらスリッパのままおばさん
の家まで逃げていったそうだ。それから、おばさんの家で避難生活を送りながら、避難所
となった職場の小学校へ通い、子どもたちや被災者のために働く日々。2週間ほどたった
時に、テレビに映った故郷、三ノ宮の惨状にショックを受け、自分で何かできることはな
いかと思った時に、「しあわせ運べるように」の歌ができたそうだ。手元にあった紙切れ
に10分ほどで書き上げたそうだ。音楽家である先生は、天から啓示を受けたかのように
作曲されたのだと思う。それからの活動はNHKで報道された動画を見せていただきなが
らお聴きした。
 宝石の涙を流せる子どもたちになってほしい、いろんなものに感動する豊かな心を持つ
子どもたちに育ってほしいと願い、「しあわせ運べるように」は神戸の音楽会で歌い継が
れてきたこと。
 遺族の方々のおもいについては、息子さんと、ホームステイで預かっていたオーストラ
リアの青年の二人を同時に亡くしてしまった松浦さんの話もあり、聞いていて涙があふれ
てきた。私の頭の中で、被爆者の悲しみ、「はだしのゲン」の映像とも重なって……。
 地球温暖化による異常気象が増え、私たちはいつ災害にあってもおかしくないという
現実に直面している。本当に「当たり前にあるものが明日もあるとは限りません」。震災
の記憶を忘れず、今を大切に、感謝して生きていかなくてはと強く思った。
 最後に臼井先生は、昨年、コープこうべの100周年の歌として作曲された「やさしさ
つむいで」という曲を、子どもたちの合唱で聴かせてくださった。
    …… やさしさつむいで みんなでつくる明日
       笑顔をつないでワクワクであゆんでゆこうよ
    …… 君の小さな手が心にほほえみを 
…… これからもいつまでも100年先もいっしょ やさしさつむいでいこう
  講演後に「まあの」さんのエスペラント版「しあわせ運べるように」を臼井先生にも聴
 いていただき公開番組前半を終えた。
  休憩後、公開番組の後半、「まあの」さんのコンサートが1時15分から始まった。
  「まあの」さんは姫路で活動されているシンガーソングライターで、本名は中村雅子さ
ん。はりまエスペラント会の会員でもある。社会の矛盾に声をあげ、平和のためにメッセ
ージ性の強い自作曲を歌い続けておられる。
 エスペラント語で“Vizagxon supuren”を歌われた後、日本語で自作曲「眠れない理
由(わけ)」、「銀河3.0」、「桃の涙」、「なんだかんだぷろぱがんだ」、「僕のひまわ
り」を歌われた。ウクレレ伴奏で何か昭和のノスタルジアを感じさせられる曲風と歌声だ
った。「まあの」さんの日常は、スマホを持たず、パソコンやメールも使わず、電子レン
ジも使っていないということなので合点がいった気がした。
 その後、3時から田中一喜さんの司会で閉会式が開催され、KLEGの大会旗は神戸から大
阪へ引き継がれた。
 コロナ禍の下、参加者がいつもより少なく寂しい気がしたが、無事に終わってよかった。
                                     (矢吹)

★ 例会学習より
テーマは el
1) El du malbonoj pli malgrandan elektu.
二つの悪の中でより悪の軽いものを選べ。
2)El la busx’multaj vortoj eliras, sed ne cxiuj ion diras.
饒舌だが、全てに何か意味のあることを言っているわけではない。
3)El la sama busxo li blovas varmon kaj malvarmon. 人には二面性がある。
4)El lia mano cxiu monero elglitas.
彼の手からは全てのコインが滑り落ちる。お金を貯めることができない。宵越しの金を
持たない。
5)El post la arbo, li estas bravulo.
木の陰にいるときは彼は勇敢だ。勇者ぶり。
 おまけ
1) 晴天の霹靂= El klara cxielo, tondro ekbatis.
2) その日暮らし= El posxo al la busxo.
3) 私がそれをしたのは単なる気紛れからだ= Mi faris tion el simpla kaprico.

テーマは bela
1) Ne bedauxru hierauxan, ne atendu morgauxan, ne forlasu hodiauxan.
過ぎ去ったことを悔やむな、不確実なことを待つな、(今)をおろそかにするな。
2) Ne bela estas amata, sed amata estas bela.
愛される人が必ずしも美しいというわけではなく、美しい人こそ愛される。
3) Ne bela estas kara, sed kara estas bela.
美しいものが貴重なのではなく、貴重なものは美しい。
4) Ne atendita, ne esperita ofte venas subite.
予期せぬこと、望まないことはしばしば突然訪れる。
5) Ne beligas loko homon, sed homo la lokon.
その場は人を美しくすることはないが、人がその場を美しくする。
おまけ
1) 破産するために会社を作ったわけではない。
Ne por bankroti mi fondis la firmaon.
2)破産しないように頑張った。 Mi klopodis por ne bankroti.
3)全員が出席しているわけではない。 Ne cxiuj cxeestas.
4) あなたにではなく、あなたの奥さんにこれを贈ります。
  Mi donacas tion ne al vi sed al via edzino.

テーマは per
1)Per bezono venas mono. 金は天下のまわりもの
2)Per kio la veto? 何をかけるか!さあ、はった、はった。
3)Per mono ecx silento farigxas elokventa.
お金で沈黙も雄弁になる。金の力は岩をも動かす。
4)Per lango flatas, per mano batas.
口でへつらい、その手でたたく。 口と心は裏腹。言うこととすることは別々。
5)Per promesoj estas pavimita la infero.
約束で地獄への道を舗装する。 守れない約束を連発して地獄にまっしぐら。
おまけ
1)一石二鳥  trafi du celojn per unu sxtono
2)胡椒で味付けする。 Spicita per pipro
3)一息にコップを飲み干す。
  eltrinki la glason per unu gluto

★ 8月7日は暦の上では「立秋」なのに、毎日猛暑が続いています。
  コロナウイルスの猛威もなかなかおさまりません。
  皆さん、くれぐれもお体に気をつけてください。