La Vento 383

La Vento
N-ro 383    2017年 10月号
Suita Esperanto-societo

吹田エスペラント会会報  発行:矢野義男 吹田市山田東2-25-13
郵便振替 00970-0-319578   年会費 6000円  準会費 2400円
ホームページ http://suita.chu.jp


☆ 「峰芳隆さんをしのぶ会」が10月1日(日)、午後2時~4時まで、神戸市青少年会館であった。吹田エス会からは、松田、大畑、矢吹が参加。遺影の横に白い花がさわやかに飾られていた。塚本さんが峰さんの思い出の映像を映されていた。司会ははりまエス会の中村雅子さん。時々涙をこらえながらけなげに最後まで大役を果たされた。
黙祷の後、関西エスペラント連盟会長の田熊健二さんの挨拶があり、その後、追悼の言葉が順次述べられていった。
KLEGからの追悼の言葉は、神戸の中道民広さん、野々村耀さん、渕田京さん、はりまの稲田正昭さん、吉田信子さん、馬場祝栄さん、豊中の佐野寛さん、和歌山の江川治邦さん、宇治城陽の相川節子さん、京都の田平正子さんが語られた。KLEG以外では、新田隆充さん(下関)、北川昭二さん(福井)、後藤斉さん(仙台)、菊島和子さん(東京)から追悼の言葉が、広高正昭さん(福岡)からはメッセージがあった。
中道民広さんは、見舞いに行ったときに、パソコンの整理と(暗黙に)しのぶ会を頼まれたことを。新田さんは、エスペラント図書館設立のきっかけを作ってくれたのが峯さんであり、今、峰さんの蔵書をたくさん預かっていること、また、峰さんは完璧主義者で、愛妻家でロマンティストだったと。北川さん、田平さんはLaMovadoの校正でやりあったこと。後藤さんは「日本エスペラント運動人名事典」作成時に千数百通のメールのやりとりをしたこと。印象深いことばかりだった。
最後に奥様から挨拶があった。エスペラントでご主人と出会い結婚したことに感謝している。エスペランティストの心の広さや優しさが今になってわかった。この闘病の10年間が充実していた。3年前に乳癌で娘さんを亡くし一人になってしまったが主人が今後は一人の人生を楽しんでくれと言ったので楽しむつもり・・・と。
峰さんは、10年間闘病をしながら亡くなる最後までKLEGのために、LaMovadoの編集に関わり、エスペラント俳句にも尽力され、細かな気配りをしてKLEGをまとめ、運営を確固たるものにされ、また、リベーロイ社での書籍の編集・発行にも携わるなど、精力的に活動され、多大な業績を残された方だと思います。
峰さん、ありがとうございました。
矢野さんの椿油による地方創生事業の御提言の9月号に載せた続きです。

現役のころ、私も同じような経験をしていました。研究員が新しい新規物資を発見し、研究をされました。その方はあたかも自分の努力だけで成し遂げたと思っていたのでした。
しかし、所詮、ビーカーで生産されたものは、営業的には全く売り物になりません。研究した内容をつぶさに調査し、スケールアップし、大量生産しなければ収益に結び付きません。そこには技術の大きな壁があります。それを乗り越えて初めて商売が始まります。最初の研究された方の手を離れて、誰かの努力がないと結果は良くならないのです。すなわち、企業で言われている創業者と中興の祖という方の存在があります。地域の発展も同様で最初の言いだしっぺと、それを具現化する人が必要です。そのようなステップを踏みながら、地域を良くしていくことが大切なのだと思っています。
それからドイツの油脂産業の一例をお話します。むかし、ドイツで落花生の栽培が盛んでした。落花生の実から油を搾り、これを何かの役に立てたいと考える機械技術者が現れたのでした。ジーゼルという方です。この油を燃料として内燃機関を作りたいと考え、研究されたのでした。ジーゼルエンジンです。ドイツの自動車のエンジンは殆どジーゼルです。歴史的にみても、ドイツが発祥の地なのです。その後、落花生の油は粘度が高く使用できませんでしたが、最近では菜種油を原料にメタノールと合成すれば軽油代替品になることがわかっています。そこでドイツでは大々的に菜種を栽培し、BDF:(バイオ・ヂーゼル・ヒューエル)を多量に生産し、石油危機に備えているようです。さすが合理的な国だと感心しています。なぜ、日本にはこのような政策ができないのでしょうか。

<4>徳島県ツバキ協会での椿油の活動について
徳島県のツバキ協会は、常松氏、谷中氏等有志の方が設立され、鳴門大橋の開通記念の時代に全国ツバキサミットを徳島県で開催するという大事業をされたと聞いています。
当初の活動内容は中国の雲南省との交流を中心に、常松氏が中心となり、活動されたと聞いております。椿油で徳島県を活性化させようとの意見は当時はまだなかったように聞いています。そのような中で、会員に国府町在住の小野氏がおられまして、10年前から
椿油に注目し、こつこつと努力をされてきました。当初種子の採取量は数十キロだったものが今や10年後には400kgを超えるまでになりました。椿油に換算すると100Lとなります。(別紙椿油生産量の推移参照)ドラム缶半分の量です。世間相場では1Lが@5000円ですので、バルク販売(瓶詰めでない単品の場合)50万円相当になります。
毎年10名程度の会員が手分けして、県下各地の椿自生地に行き、種子を採取して、小野氏宅にこれを集めて、品質チェックし、これを纏めて五島列島の今村製油所に送り、委託製造をお願いしています。その後油となって返ってきた瓶を各会員に分配し、瓶詰めして、自家消費しています。
昨年100Lに到達したことから、自家消費目的では余りにも量が多すぎて、本格的販売ルートを模索しないと消費できないこととなり、今後の課題として残っています。現在、
徳島県内で自前の椿油搾油工場の開設の可能性を探るべく努力をしています。今年の活動目標として山口県の搾油工場の見学、及び搾油機械製作所であるサン精機㈱訪問を考えています。

<5>山を宝にする方法(矢野の提言)
別紙、第6次産業化の未来予想と地域活性化についてのブロックフローシートを参照願います。例えば、間伐材を使ってバイマスを作り、メタノールを発生させたとすると、油にメタノールと反応させBDFが出来ます。これをジーゼル車の燃料に使えばりっぱな産業が生まれます。また椿油に含まれるオレイン酸を抽出して水素と反応させれば、油剤として繊維産業用の原料ができます。椿油とDCHAを混合すれば塗料ができますし、素材としての椿油は無限に利用価値があります。地域を活性化するためには、これらの素材を有効に利用することです。二次産業の薬剤、化粧、化学、食品等の分野との協調が必要不可欠です。これらの産業とうまく組み合わせて考えていくと新しい企業化が生まれると信じています。
とりわけ大事なことは、椿油は食糧としての需要が見込まれる可能性が非常に大きいと考えられることです。これからの健康志向としては、なくてはならない素材だと思います。
最近、食料油に対して脳神経内科の先生たちが警告を鳴らし始めています。「悪い油を食べるな、サラダ油をやめれば健康寿命は延びる」という薬学博士が本を出しています。「そのサラダ油が脳と体を壊している」と脳科学専門医が警鐘を鳴らしています。「認知症が嫌なら油を変えよう」との本もあります。「油が決める健康革命」という内容の本もあります。これら街中の本屋で販売されているだけでも10冊程度は存在しています。1冊でもご一読頂けると如何に油が現代人にとって大事か、考え直さないといけない物資であるかが理解できるでしょう。
別紙「椿油に関する美容と健康について」のまとめの文章を御笑覧頂けると、如何に椿油が現代人にとって必要なものかは理解できると思います。

<6>地方創生のカギとなるもの(1次産業の経営統合化から)
1次産業だけで地方創生事業を考えたと仮定しましょう。そこには大きな壁があります。農業だけでは生き残れません。林業も、漁業もそうです。もし、農協と漁協と山林組合が経営統合し、一人の経営者が統括して経営したと考えるとどうなるでしょうか。恐らく、農家にないもの、御魚ですね、漁民に無い物、それはお米ですね、林業家にないもの、それはお米や御魚ですね、だけど椎茸や山菜、タケノコ、建築の材料はありますねという話になると、経営者はお互いがお互いの無いものを埋め合わせをする経営をするでしょう。そして、万が一、食料危機になってもこれらの組合員は絶対に食糧に困らないよう備蓄をしておきましょう、地震がきても材木は保管しておきますから、優先的に家屋を修復しますよと、相互扶助の経営を基本にして、その上で儲かる産業を育て、黒字化していく経営体になるでしょう。これら総合的な経営が第2次産業と結びついだ時は更なる発展が期待できるでしょう。すなわち、2次産業の企業が外国から輸入している物資を優先的に多量生産することにより国産に置き換わる時代がやってくるかもしれないのです。外国との格差がなくなると顕著に国産化の産業が再び表れてくるものと思われます。
例えば、椿油から抽出したオレイン酸、松やにからとれるインクの原料のアベチン酸、みつまたやこうぞの樹皮をチップにして製紙産業の原料とするとか、また楠の木から抽出したナフタレン等昔江戸時代から職人と呼ばれる方が知恵を絞り、近代の科学技術を組み合わせて製品化し、大量生産することにより、石油から由来する製品に太刀打ちできる可能性を探り、これをもう一度日本の地域の産業として見直す時代がきていると考えるものです。すなわち、第1次産業を宝の山に、宝の海に、宝の野にすべき時代がやってきているのです。海は藻からレアメタルを抽出し、工業用原料にもなりうるし、微生物を利用すれば石油を作る可能性があると今や研究段階から実用段階にまで研究が進んでおります。また、四国沖には多量のメタンハイドレートが埋蔵されていることから、これを陸地にあげて貯蔵し、精製する工場もできる可能性が出てきました。
このように見てくると、地域活性化は経営次第で大きな可能性があると思われます。
要は経営的判断で立って、物事を総合的に見て行くと実現できそうに思うのです。
(次号へ続く)

吹田エスペラント会のふれあい講演会参加よろしくお願いします。
日時: 11月3日(金・祝)1時半~4時
場所: 千里市民センター多目的ルーム(8階)
(阪急千里線南千里駅下車西側すぐ)
内容:講演(桂福点さん)とエスペラント体験(川村泰範さん)

☆☆ お知らせ
吹田エス会担当の北摂ザメンホフ祭の日時と場所は
日時: 12月16日(土) 午後1時~4時半
場所: 吹田市立千里山コミュニティセンター
(阪急千里線千里山駅下車すぐ)

です。よろしくお願いします。