N-ro 476 2025年 11月号

吹田エスペラント会会報 発行:矢吹あさゑ 吹田市南金田2-4-4
郵便振替 00970-0-319578 年会費 6000円 準会員 2400円
ホームページ http://suita.chu.jp
★ エスペラントふれあい講演会について
11月3日(月・祝)に、メイシアター小ホールでエスペラントふれあい講演会を開催した。講師は安田節子さん、演題は「お米が消える日~なぜ日本人の主食が守られないのか ―今、問われる日本の農業政策と私たちのできること―」。
開催の11日前になって、突然、市の都市魅力部文化スポーツ推進室から講師と講演内容が文化団体協議会の目的にふさわしくないから、推進室が指摘する4点について修正しなければ中止してもらうといってきた。急なことなので中止するわけにもいかず、吹田エスペラント会主催の講演会で費用も自己負担(10万円弱)することで開催することができた。
松田さんの尽力もあって参加者は46名。吹田市の他、富田林、堺、豊中、箕面、奈良、滋賀からも来てくださった。吹田エス会の参加者は、佐藤、松田、大畑、矢野明徳、宮本、矢吹の6名。
吹田エスペラント会会長の挨拶の後、六年ぶりに六中コーラス同好会のコーラスが披露された。曲目は、少し手話を付けて「未来へ」、「心の瞳」、エスペラントで“Edelvejso”“Esperanto estas la lingvo por ni”“Mirinda Graco”。地域のコーラス文化の小さな灯を未来へつなごうと、今回は三世代にわたる編成グループでの参加だった。
パワーポイントを使い、穏やかな口調で安田節子さんの講演が始まった。
日本の食料自給率は38%を切っている。低米価と高齢化のため稲作農家数はこの20年で3分の1弱に急減したが、このことだけが米不足の原因ではない。減反による水田の減少、米の消費の減少(パン食の増加)、年間約77万トンのミニマムアクセス米(国際的な貿易協定に基づいて最低限輸入する外国産米)の輸入と自由貿易協定も国内農業を衰退させ米不足をもたらせている。
米の価格高騰は米の先物取引のせいでもある。
米国からの穀物大量輸入を国是とする限り食料自給率を上げることができず、自動車や工業製品を輸出する代わりに食料輸入を求めてきた財界や財務省の意向の結果が農業衰退を招いた。
近未来に米不足になる。輸入米を当てにせず、増産をして備蓄をしっかりする必要がある。国産の米で輸入小麦の代わりをさせたらいい。米粉でパンを作るなど。減産ではなく増産をすべきだし、700~1000万トンの米備蓄をすべきだ。農家支援もすべき。
「持続可能な農業に関する日米対話」で温暖化防止にメタン削減が必要だから「水田を減らせ」といっている。農薬の方がもっと地球温暖化に影響を及ぼしているのに。「乾田直播大規模稲作」の推進も考えている。――とんでもないことだ。
「食品安全規制」も貿易障壁となり、国際基準への整合化が進む。
農産物・食品の輸入を促進するために国民の健康を犠牲にして食品安全の規制緩和が促進されている。柑橘類に残留するポストハーベスト農薬を食品添加物の保存料として日本に容認させて輸入したり、肥育ホルモンの残留する牛肉の輸入を始めたりしている。恐ろしいことに、1991年の牛肉・オレンジの自由化後、乳癌や前立腺癌が急増しているそうだ。
また、ゲノム編集食品は日本だけで流通しているそうだ。アメリカから輸入されているトウモロコシ、大豆のほとんどは遺伝子組み換えをされている。それを豚、牛、鶏が食べている。それを我々日本人が食べている。遺伝子組み換えの新規承認数も日本が世界一。また、輸入小麦には残留農薬(グリホサート)が含まれている。検疫措置も輸入障壁となっているのでモニタリング検査に緩和されてしまった。どんどん恐ろしいものが入ってきている。国産のものを食べるべきだ。
私たちは、今こそ、日本人の食の安全と健康を守らなければならない。
日本の農政は農業を衰退させている。米国隷属になってはならない。
水田を守り抜き、有機自給国家へ。
お米をもっと食べよう!(国土と風土を守るために)
質疑応答
・種苗法についての質問。登録品種以外の固定種や在来種は種取りをしてもかまわない。
・棚田バンクは広がっていく動きがある。援農(無償もしくは最低賃金以下の謝礼や農産物を得つつ、農家の農作業を都市住民等が手伝うもの)は各地の有機農家の方々に広がっている。いろいろな情報機関を通してもっと広げていくといい。
・食育の体験を子どもにさせることは大事。小学校でも農地を借りて野菜を育て、収穫し、給食で食べている所がある。
・国産小麦を食べようと思うが、「国内製造」とまぎらわしい表示をして、輸入か国産か消費者にわかりにくくしている。小麦・油・蕎麦はちゃんと日本の生産地が表示してあるものを買おう。
・徳島から駆けつけてくれた吹田エス会の矢野さんが農家の実態を話され、このままでは10年後には農業が廃退すると、切々と訴えた。政治家は農政を知らない。農業の現場を知らない。地域の農業高校の卒業生も農業従事者はゼロという現実。農業を継ぐ若者がいないから農業はつぶれてしまう。農業の未来を何とかしなければならない。
・私たちができることは?
内橋克人さんの言、「小さな自給圏を全国に作れば日本は自給国家になれる」のように、自分の身の回りから地域の国産小麦を作っている農家さんや有機農家さんとつながる。
小さな自給圏をこの地域で、この町で、この小学校区で、生産者、地域、父母、学校を巻き込んで作っていけば、小さな自給圏ができる。市長選の時などに、市長さんにこの公約を入れてくれませんかと頼んでみるのもいいのではないか。
ゲノム編集トマトが安田先生の近くのスーパーで売られていたので、匿名で店長に抗議の手紙を出したら、すぐに店頭からなくなった。抗議の手紙を出そう。地元の消費者の声を店は聞いてくれる。
安田節子さんの講演をお聴きして、私は、国産の野菜や小麦を買うようにしようと思った。スーパーで買うときは原産地や食品の表示をちゃんと確かめようとも。また、吹田市では、近々中学校の給食開始を考えているようなので、ぜひ、有機給食を考慮してほしいと思った。
ちょうど毎週届く生協の注文のチラシの中に衆・参両議長あての「食料の安定供給と自給率向上を求める請願」(全国食健連の呼びかけ)を見つけた。請願事項がこの講演でお聞きしたこととすべて一致していたので、すぐに署名して郵送した。
(矢吹あさゑ)


参加者の感想は、有意義な講演を拝聴できて、嬉しく思う、食料問題を少しは認識しているつもりだったが想像以上で愕然とした、日々口にしている食べ物の安全性を軽んじていたことに反省しているなど好評だった。
元吹田エスペラント会員の正置友子さんの近況
講演参加者の中に元吹田エスペラント会会員の正置友子さんがいらっしゃったのでびっくりしました。2023年に風間書房から「生きるための絵本」を出版されたそうです。
講演の後、吹田エス会の5人と一緒に懇親会を持ちました。
その後、松田さんに正置さんから近況を知らせるメールが届きましたので、掲載させてもらいます(一部省いて)。
この間は、久しぶりに懐かしい方々にお会いでき、うれしいことでした。安田節子さんの「お米が消える日」も教えていただくことが多い内容で、お聴き出来て良かったです。
後のお茶の時間で、佐藤さんからいただいた名刺に「エスペランチスト9条の会代表」とありました。この10月18日に、「子どもの本・九条の会」主催の講演会が東京の日本図書館協会で開催され、講師としてお招きいただき、「戦前・戦中・戦後の絵本―あの頃こんな絵本があった 歴史に学び、未来を拓く」というタイトルで3時間の講演をさせていただきました。当日は、出版社の風間書房の3代目社長の風間敬子さんも、私の本の販売(サイン会)に駆けつけてくださって、講演を聞いてくださいました。
このテーマには、2001年から研究に取り掛かっていて、3年後に出版の予定をしていましたが、風間書房さんから来秋に脱稿、翌2027年春、出版を考えて欲しいと言われ、研究と執筆の密度を上げようと覚悟を決めているところです。
私は暴力(戦争や核)で平和をまもれないと考えていますので、80年以上前、日本がどのようにして戦争の泥沼に入っていったかを当時の絵本という記録を通して描きたいと思っています。かなり調べたつもりでも、執筆の段階に入れば、まだ不足している部分が多くあります。それに、いま85歳という年齢も考慮に入れなければなりません。
出版が厳しい時に、出版を約束してくださる出版社があることは、心底ありがたいです。
それに、風間書房さんの装幀はしっかりしていて美しいこと、本当に感謝です。2年前に出していただいた『生きるための絵本』の装幀も気に入っています。その前の数冊の本も。
私の長々とした個人的な状況を読んでいただいて、ありがとうございました。
いつかエスペラントの勉強に戻れると思っていましたが、忙しくなる一方で、残念です。
みなさまによろしくお伝えください。
正置友子
正置さん、執筆、頑張ってください。心から応援しています。
★ 文化団体協議会と市から今年度中(来年2月まで)に、新たに、市民文化祭参加のエスペラント会の催しを実施するようにといわれています。素晴らしい講演会が終わったばかりなのに、私たち、吹田の会員は、また、あれこれと皆で知恵を絞っているところです。